里親手当とは

里親希望者から「里親手当ては税金の対象になるのでしょうか」と質問を受けました。そこで、里親手当てがどのような性格のお金で、課税の対象になるのかどうか調べてみました。ちなみに、里親手当ては養育費とともに措置費として支給されているものです。
まず、児童福祉法第57条の5に「租税その他の公課は、この法律により支給を受けた金品を標準として、これを課することはできない」とあります。
それなら課税の対象にはならないと判断すべきです。ところが、平成24年12月26日付けで国税庁個人課税課から「児童福祉法の規定に基づき里親及びファミリーホーム事業者が支弁を受ける措置費等の取扱いについて」という通知が出ています。
これによると、里親への措置費は、児童福祉法第57条の5第1項(租税その他公課の非課税等)に規定する「支給を受けた金品」には該当せず、課税の対象となるとしています。
その理由としては、里親は「社会福祉事業とは位置づけられておらず、事業として行っているとまでは言えないことから、支弁を受ける措置費等については、その者の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入されることとなる」としています。
そして、「雑所得の金額は、1年間の総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算することとされていることから、必要経費を差し引いた結果、残額が生じない場合には課税関係は生じないこととなる」というのです。
確かに国民の税金から措置費が支払われていることを思うと、きちんと把握することは必要ですが、生活にかかった費用からその子どもにかかった経費(養育費)を割り出すには、家計全体を正確に把握することが必要です。
厚生労働省は「里親に支弁される措置費等に係る具体的な手続き」で「措置費等として支弁された金額(一般生活費等及び里親手当ての合計額)以上に必要経費が生じている場合には、この措置費等について雑所得の金額は生じません」。そして「税務署からの照会があった場合には里親委託に係る金銭の収支状況を説明する必要がありますので、収支状況の記録やや書類を整理しておく必要があります。なお確定申告に係る具体的な手続きについては、最寄りの税務署に問い合わせください」。
そして里親手当てについても雑所得に含まれるので、里親会への参加、研修や勉強会、行事への参加費(交通費等を含む)、家族レクリエーションなどの経費が考えられますが、どうやら育児に関する人件費は含まれていないようです。

手当と言えば労働の対価と考えがちですが、そうではありません。しかし、税務署からの問い合わせがあったという里親はいまのところいないので、厳密にいうとこうなる、ということです。