児童養護施設で働いていた鳥海昭子の短歌

盗癖の子の手をとれば小さくてあつたかいのでございます

あけがたのおとしものみたいな月があり親のない子が危篤なのです

この子らの涙を拭いて尻をふいて私はわたしで生きている

おまえ発・おまえ行きだよ ほかにない十五歳だよ凶器はよこせ

ひとりだと思うなと子のひと言にぐっと前方が見えたのでした

いつぴきの魚となつて少年がさくらふぶきを突切つてく