子育てをしていて、子どもから「いただきもの」をするような体験がある。恩寵といえばいいのだろうか。大人が失ってしまったものを気付かせてくれるような。
昔、三木成の『形態発生学序説』を読んだことがある。生物の個体発生は形態発生（進化）を繰り返すというものだ。その中に、3歳児の顔のデザインと、仏像の顔が紹介されていた。目鼻の感じがよく似ている。そして、3歳児の顔がたとえば観音様だとしたら、私たちが救いを求めているのは3歳児に、ということになる。
そんなことを考えながら秋葉原駅前を歩いていると、アニメの顔がどんどん3歳児の顔のデザインに見えてくる。若者は郷愁を感じながら、仏像へと同様の救いをアニメの中に求めているのかも知れない、なんて考える。
