イーユン・リーの短編『千年の祈り』を読んだ。中国でつれあいに先立たれた男は、アメリカに住む娘が離婚したと聞いて、さぞかし寂しい思いをしているだろうとアメリカに赴く。ところが会話ははずまない。
英語のできない男は公園で同じく英語のできない女性と話す。相手はペルシャ語。勝手な会話ではあるが、男は中国のことわざ「修百世可同舟」について話す。同じ舟で川を渡るためには300年祈らなくてはならない。父と娘ならおそらく千年でしょう、と。
そして、父の過去も語られる。中国社会の重い現実のなかで送った日々。
里父と娘なら、と思わず我田引水のモノローグ。何年祈っての出会いなのだろう。