施設の子と里子の話というので『ふたつの月の物語』(富安陽子著、講談社)を読んだ。
里親希望者から、ある条件が示されて、児童養護施設の女の子、里親のもとにいた女の子が、その里親希望者のもとにやってくる。二人とも異なった超能力を持っていて、共通点もある。実は二人は姉妹だということがわかる。
ダムに沈んだ村の伝説、信仰に関わる。どうもそういうことしか言えない。すごく面白いのだが、ネタバラシになってしまう。では、里親や里子が読んだらいいかと言えば、そんなこともない。
しかし、あえて言えば、要保護児童が超能力をもっているという話は、この世界にいる子どもたちの救いになるかも知れない。
また、非常にきわどい、ミステリーとファンタジーの青少年向けの小説が、社会的養護を材料にして成り立っていることに感心もする。
社会的養護にいる子どもたちが読んだらどう思うのだろうか、と考えてしまった。