子育て 「子どもを叱って」と110番

110番通報で、「家にゴキブリがいる」とか「免許更新の仕方を教えて」というような緊急性のない通報が18%もあったという。そのなかに、「子どもがいうことをきかないので叱って」というのがあった。先に、里親の実践知ってなんだろうと書いたが、養育における実践知が大幅に下がってきているように思う。
梶村啓二の小説『野いばら』を読んでいる。ブックオフの100円もの。江戸時代に英国人を殺した生麦事件当時が舞台。情報官となってやってきたイギリス人が主人公。「情報とは交際のことだ。一般にしばしば誤解されているように盗み取るものでもなく、暴くものでもない。知るべき情報のすがたは、よく冷えたシャンパーニュを酌み交わすグラスの表面に知らぬ間に浮かぶ水滴や、お茶を注いだティーカップの上にふと立ち上がる湯気に似ている」(53P)と書いている。
情報のカスだけで分かったつもりになるような現代社会を皮肉っているといえるが、とくに子育てなどはまさにシャンパンの泡のようなものに支えられているのだろう。