フォスタリング機関の諸問題

フォスタリング機関については今年度から国の予算がついてすでに始まっているが、自治体予算を考えると今年から稼働しているところはわずか。来年度から取り組むところが多い。

さて、フォスタリング機関についてどんな問題があるのか整理してみよう。最も基本的なことは、児童相談所がやることになっていて、民間に委託してもいいことになっているということだ。委託できるところが見当たらないなどの理由で、民間委託ができずに当面は児童相談所がやるとしているところが非常に多い。

民間に委託したいと考えている自治体の場合、まずフォスタリング機関の定められている5事業すべてを一か所の事業者に委託するか、部分的に委託するか、というメニューの問題がある。また、都道府県内の事業者に限るとしているところと、多くの自治体で請け負っている事業者に任せるところに大別できる。

児童相談所ごとに委託するか、地域を分割をして複数の事業者に委託するか、都道府県内に一か所の事業者にするか、いわゆるエリアの問題もある。

委託する場合でも、単年度ごとに入札で行うか、数年間まとめて委託するか。都道府県の財務担当からは、単年度にしてほしい、という意見が多いようだ。しかし、現場はそれでは効果的な活動はしにくい、という問題がある。

民間委託の場合で、フォスタリン機関の開拓した里親のみ支援の対象とする事業者と、どんな里親も等しく支援をする事業者に別れる。限定した里親のみ支援対象とする方がフォスタリング機関としてはやりやすいかも知れない。しかし、すべての養育里親を支援対象とするように自治体から委託されているとしたら、予算執行上問題にならないだろうか。また、支援対象にしていない養育里親はカヤの外に置かれることになる。

こうした民間委託の問題以外に、民民問題がある。フォスタリング機関と施設にいる里親支援専門相談員、あるいは児童養護施設に併設されている児童家庭支援センター(現在は里親支援の業務も任されている)とどう業務を振り分けるか(ここにも予算執行上の問題がある)。この部分も、フォスタリング機関がそうした資源を連携していくところとそうでないところに大別できる。これについても行政はきちんとジャッジする必要があるだろう。

フォスタリング機関は養育里親の支援だから、それ以外の、養子縁組里親や親族里親の支援に特化するか、フォスタリング機関と連携してやっていくか。そこまで踏み込んでいる自治体は少ないようだ。

すでに始まっているフォスタリング機関としては、乳児院が請け負っているところが多い。児童養護施設はそんなに事業領域を広げられないと感じているようだ。やるとすれば、併設されている児童家庭支援センターが担うことになるのだろう。

また、地域の里親会の立場だが、単独でフォスタリング機関になるところは非常に少ない。乳児院などと連携して共同事業として取り組もうとしているところが数か所ある。