経済的虐待

言うまでもないが、児童虐待には4種類ある。身体的、心理的、性的、ネグレクト。ところが高齢者虐待にはもう1種類ある。経済的虐待だ。高齢者の財産を処分したりして利益を得ることなど。それは犯罪だから虐待に入れる必要もないだろうと思う。

同時に、子どもの虐待にだって経済的虐待があるだろう。親権として監護権があるからいらないという反面、親権によって経済的に子どもが親元から逃げられないように縛ることができる。親から不利益をもたらされているのに逃げることができないわけだ。

そんなことを考えたのは『荒野にて』(ウィリー・ヴローティン著、早川書房)を読んだからかもしれない。15歳の男の子がお金もなく長旅をする。もちろん万引きなどをして食料を得る。暴力にも出会う。社会には保護の仕組みがあるだろう、ということもできるが、子どもにだって思いを実現する努力のチャンスがあってもいい。

まあ、書評じみたことはここでは書かないが、子どもにとっての経済的虐待というのを考えてみようということだ。