法人と私人

里親が私人であることで決定的に弱い、ということをしっかり考えた人はいるのでしょうか。行政は第二種の福祉事業でもファミリーホームをずっと管理しやすいと考えている。

フォスタリング機関が来年から立ち上がるが、開拓した里親を傘下に入れ、里親会活動などの自由を制限するのではないか、という話もある。

このところ書いてきた親権との問題もそうだし、里親手当だって公的なお金を私人に対して労働の対価にはできないので必要経費扱いにしている、など。

そこにいくと、児童養護施設は準行政的な位置づけである。愛知県の児童養護施設暁学園」の暴行事件も、判決では施設にではなく県にだけ賠償を求めている。ところが里親にはこうした判断はない。個人の責任であり里親が賠償に応じている。

そういう意味で、フォスタリング機関が里親を傘下に置くというのはある意味、合理性がある。里親が私人であることの弱さを武装しようというのなら、里親会を法人化して、里親はそこの職員になればいいのではないか。里親会が福祉事業法人になれればもっといい。

 

参考

国賠法適用なら使用者責任なし=最高裁が初判断-養護施設の暴行訴訟
2007/01/25 時事通信

 愛知県東海市児童養護施設暁学園」で年長の少年4人から暴行を受け、障害が残った少年が県と施設を運営する社会福祉法人「積善会」を相手に、安全配慮義務を怠ったなどとして約5600万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(才口千晴裁判長)は25日、民間人の行為について国家賠償法が適用された場合、雇用主は使用者責任を負わないとする初判断を示した。
 その上で、県と積善会の双方に賠償を命じた2審名古屋高裁判決を破棄。県だけに約3300万円の支払いを命じた1審名古屋地裁判決が確定した。