意見表明権の保障

令和4年6月の児童福祉法改正で子ども本人の意思を確認することが義務づけられた。一時保護や要保護児童の意見表明はさらに大事なことだろう。

里親家庭にあっても、子どもの声を尊重するようにしたいものだが、なかなか簡単にはいかない。局面に応じて、里親が聴くことも大切だが、第三者でなければ聴くことの難しい問題もあるだろう。

意見表明権を保障する仕組みを里親家庭でも急ぎ作っていく必要がある。

親権が話題になっている時に

共同親権が話題になっている。とてもいいことで、ぜひ前向きに進んでもらいたいと思っている。もちろん、問題がある場合には単独親権の選択も残して。

しかし一方で、親権を持ちながら養育を放棄している状態の実親も多いように思う。この辺の議論はなされていない。海外では、比較的容易に親権を剥奪するような動きもある。養育が難しいようなら曖昧な状態にしておかずに、子どもの身分の安定のためにも、早い機会に、養子縁組などを進めてはどうだろう。

養子縁組の議論が進まず、大人のための養子縁組になっている。子どものための養子縁組のあり方を議論してほしいものだ。

子どもの権利条約では、代替養育の基本は里親で、必要があった場合にのみ施設で、さらに親元に帰ることができない場合には養子縁組をするように書かれている。代替養育の地続きで里親と養子縁組がなされているのに、日本ではこの間がぶつ切りになっている。

引っ越しの多い里親

児童養護施設が動くことは極端に少ないが、里親は仕事の都合などで引っ越しをすることは多い。

里親制度は地方自治法によって、制度は国がつくるが、運用は地域に任せられている。そのせいで、一地域にとどまっている分にはいいが、引っ込しをするとなると結構問題が多い。こういう場合、地域の行政が互いに話し合ってくれればいいが、移動する里親が悩むこととなる。

たとえば、委託されていた子どもが委託解除になる場合がある。人間関係ができている里親と子どもが突然別れなければならなくなる。実親の都合など事例によっても異なると思うが、ルールの欲しいところだ。

また、引っ越した先で里親を続けようとすると、研修や実習を受け直さなければならなくなる。先に受けていた研修や実習が信じられない、ということだろうか。

分からないことを書く

日本の里親制度は養育里親であるとか親族里親であるとか国が決めて、自治体がその制度に従って運用する。でも、アメリカやヨーロッパは、その前に民間と公的機関でやっている、と前置きがある。里親の種類などを聞こうとしても、そういう風にはなっていないから、といわれて、全体が分からない。そのうえで、親族里親が多いとか言い出す。

日本のように、公的な機関だけの制度ではないようなのだ。エージェンシーという里親支援機関が、自立して制度を運用しているようなのだ。

公的な機関と民間機関で制度を運用する理由が、公的な機関しかない日本にいては分かりにくい。そこが始まりなのだと思うが、里親支援機関の存在理由も違うようなのだ。日本は、児童相談所の下請けとして民間による里親支援が行われる。しかし、どうやら、アメリカやヨーロッパの里親支援機関は下請けで動いているのとは違うようだ。

歴史が違うのか、また仕組みが違うとしてそのメリットは何なのだろうか。

まあ、分からないままなのだからしょうがない。この辺、よく知っている人がいたら教えてもらいたいものだ。

再婚禁止期間の改定

里親が預かった子どもの住民票がなかなか里親のもとに来ない、と思っていたら、そもそも出生届そのものが出ていないことが分かった。いわゆる無戸籍の子どもだった。DVで別居中に他の男の子どもを出産したらしいのだ。

この場合のように離婚が成立していなければ難しいが、女性だけに定められていた再婚禁止規定が廃止された。4月1日以降は、離婚後いつでも婚姻できることが可能になった。これで、子どもの父は出産時の夫となることになる。戸籍のない子どもが少しは減ることになる。

学校に行く権利

義務教育という。学校に通うのは、子どもの義務ではなく養育者の義務である。

毎日新聞社の調査によると、2022年に児相で一時保護を行った子どもの6%しか通学していないことが分かったという。要保護児童については児相の管轄下におかれる。

前にも書いたが、ある里親が一時保護で預かった子どもを、学校が近いこともあって毎日送り迎えをしていた。ところが児相から連絡がありやめてくれと言われたという。他の一時保護の子どもたちが学校に行けていないのだから不公平になると言われた。そういう通知が管内に回されたという。

学校に行けるよう努力するならともかく、他の子どもたちが行けないのだからその子だけ行かせるわけにはいかない、というのはおかしな話だ。

しかし、一時保護の子を里親に預ける地域というのはいいと思う。一時保護段階の子どもはまだ措置には至っていない。だから、里親ではなく一般の家庭でも問題はない。そうした家庭を活用している地域もある。もちろん多くはないが。

国連から、日本への総括所見で、一時保護のあり方を変えるように、と言われている。外国の小説などを読むと、一時保護の子どもを里親が預かるシーンが描かれている。一時保護にも里親が活用されているらしいのだ。

通う学校の近くの里親宅なら無理なく通学ができることだろう。この調査で、学校に通わせることができない理由として、逃げ出す可能性があるから、というのがあった。逃げ出す必要を感じるような環境に置くことが問題なのではないか、と思ってしまう。

私たちの地域でも一時保護に里親を活用している。手当も出る。しかし県からではなく児相からで、しかも支払いは年度末の一括清算である。多くの子どもを一時保護で預かるファミリーホームなどではやりくりが大変である。

養育の難しさ

<「ほめて育てる」親は不適切>という記事を読んだ。

TBS系で放映されるドラマ「不適切にもほどがある」で、ひょんなことからタイムスリップしたオヤジの言動が今の常識にそぐわない。なかでも「期待しているよ」がZ世代には「ハラスメント」だと訴えられる。ほめて育てたい背景には「子どもに嫌われたくない」という親の自己愛も潜んでいるのではないか。―—というのだ。

私もどちらかというとほめて育ててきたと思う。とくに里親としては、子どもをいたずらに傷つけたくない思いから、ほめるようにしてきた。

今の子どもたちの多くが、人の前でほめられるのがいやらしい。で、考えてみれば記事にあるように、大人の側の「子どもに嫌われたくない」思いもあるのだろう。